9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]
2011/07/21(木) 19:59:23.52 ID:CFHE2pE70
爆風から全身を守るべく姿勢を低くしていたシグが視界に入れたのは、帽子を吹き飛ばされた体の少年と、先ほどの黒髪黒眼の少年であった。
黒髪の少年の腕は、金髪の少年の腕を掴んでいた。どうやら正義感から自分たちを追ってきていたようだ。
シグは少年の行動力に若干の感嘆を覚えつつも、もう一人、新たな一面を見せた金髪少年の方に気を取られた。
彼は、彼でなかった。単刀直入に述べれば、
「「お……おんなのこ?」」
「……なんだと思ってたんだ、今まで!」
思わず少年とハモってしまう。
露わになった顔といい、先ほど漏らした悲鳴といい、紛れもなくこの金髪ティーンは少女なのであった。
「顔を隠しているからわからなかった……」
「……僕もです」
「……失礼な奴らだな!」
気まずい雰囲気が三人の間に流れ、少女が憤慨する――のと時を同じく、再び爆発が起こった。
「ちっ、仕方ない! 少年改め少女、行くぞ!」
「あ、ああ……!」
「ちょ、ちょっと二人とも! 危ないですよ!」
「百も承知! 君は早く逃げろ!」
振り向きざまにそう言うが、それはどう考えても無理な相談だった。
今までシグ達が走ってきた通路は、無残にも瓦礫が積み上がるデッドエンドと化していたのだ。
「……逃げられないみたいだな。よし、少年、工場区まで案内してくれ」
「あ、はい……シェルターですね」
「いや……まあ、そうでもあるが……」
歯切れの悪いシグの言葉に、少年が怪訝な顔を見せる。
妙な沈黙を見せた二人の空気を吹き飛ばしたのは、意外にも勝気な金髪少女の声だった。
「また爆発だぞ! 早く走れ!」
言わんが早く、モルゲンレーテ社屋を爆発の振動が大きく揺らした。
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