36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/28(木) 23:22:58.41 ID:ZF01CXpGo
「たかが流浪人風情にこの悔しさはわからないわよ……」
薫の瞳には涙が浮かんでいて――それでも決して弱さなど感じさせなかった。
赤はその瞳をじっと見つめ。
「ま」
「どの道その腕じゃ夜回りは無理でござろう?」
「あ」
そんな風に、話を切り上げた。
まるで――今までの言葉が全て戯言だったかのように。
「今は大事をとるに越したことはない」
「第壱、活人剣を志すものが自分の命すら活かせないようじゃそれこそ戯言でござる」
それに――
「亡き父上殿も、娘の命を代償にしてまで――流儀を守りたくないはずでござるよ」
「家族」とは、そういうものでござる――そう言って、赤は去った。
「さ、済みましたよ」
「あ、ありがとう喜兵衛」
喜兵衛と呼ばれたその老人は、その細く鋭い目で先ほど赤が出て行った方向を見つめる。
「薫さん、あんなのに気を許してはいけませんよ、流浪人なんて所詮人生の落伍者です」
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