過去ログ - ダイブ イン ダンジョン
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17: ◆Q6CGh0.8HA[saga]
2011/07/24(日) 00:07:52.63 ID:PczzSqKSO
「冗談じゃねぇ」

急に鋭さを増した声にはっとして彼を見ると、真っ直ぐに伸びる鳶色の視線とぶつかった。

「俺はな、待ってたんだよ。声高らかに魔の王を討つなんて叫ぶ、俺と同じ夢を持った、俺と同じアホな奴を」

「待ってたんだよ、ずっと」

自分の悲運を描いていた時とは違う緊張が私にまとわり付き、喉から言葉が押し出せなかった。

気圧されたのもある。だが、それ以上にぐちゃぐちゃだった。

それきり彼も黙ってしまい、部屋には沈痛な空気が流れていた。

「明日の朝迎えに来る。その時に答えを聞かせてくれ」

石像になるまで永遠に続くのではないかと思われた時間を破ったのは彼で、去り際にはっきりと響く声を残していった。

ドアが閉まるとともに身体がベッドに落ちる。

何なのだろう。

始めて都会に訪れ意気揚々と向かったギルドで出鼻を挫かれ、走ってぶつかったら気絶して、パーティーに誘われて、それが恥ずかしさから覚めようとした夢をともに見てくれる人で。

一日とはこんなに次々と何かが起こるような物だったか。

重大な決定項目が目の前でちかちかと点滅していたが、そんなことに思いを馳せていると私の身体はまどろみの泥中に吸い込まれていった。


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