過去ログ - ダイブ イン ダンジョン
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25: ◆Q6CGh0.8HA[saga]
2011/07/26(火) 22:26:30.22 ID:bXKN1DVSO
しかし、見かけに寄らず可愛い理由だ。心がほっこりする。それと共にズキリともする。

寝てしまうのも腹減りが気になるのも、きっとこの決定が私の中で言葉だけの重さだから。

彼の真剣さを見ると、自分の情けなさが浮き彫りになり苦しい。

「で、どうなの。決めてくれた?それとも今から散歩?」

彼の意思と向き合いたい。向き合うのが道理だ。

「かつっ!」

「うぉっ!?」

両の頬を出来る限りの強さで叩く。痺れるような痛みが心を引き締めてくれる。

「ど、どうしたの?」

「気合いを入れました!」

「地べたに座るのも?」

「はいっ!」

奇妙だろう。だが、こうしないと報えない気がするのだ。

「……ふーん」

何かを察したのか、彼も私と同じように地べたへ膝を折り畳み、背筋を真っすぐに伸ばしてくれた。

「私はまだ何も決めていません!悩んですらいません!」

「あぁ」

「なので、今から決めます!」

「分かった、聞こう」

鳶色の瞳が昨日私を震わせた時と同じ色を放っていた。
だが、今日は覚悟がある。

私の誠実さは彼から見れば弱々しいかもしれないが、それでも私も同じように意志を瞳に乗せ、彼を跳ね返す勢いでぶつける。

『後は……妙に親切な人。こういう人にも気をつけなさい』

忠告が蘇る。

心配しなくていい。私には分かる。彼は妙に親切な人じゃない。

「私と魔の王を倒しに――

そこまで発言して、何処からかキュゥっとへんてこりんな音楽が鳴った。


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