過去ログ - ダイブ イン ダンジョン
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31: ◆Q6CGh0.8HA[saga]
2011/07/30(土) 12:43:16.30 ID:mswEjedSO
彼の目に私はどう移ったのだろう。

走ってお酒を取って帰ってくると、自分のあげたクッキー七枚を見事に完食し、充足した顔で包み紙をウサギにしたり鳥にしたりしている私は。

苦笑する彼の表情からは深くは読み取れない。読み取れないが、何となくやってしまったのは自分でも分かる。

くそぅ、都会に出てきてからこんなのばっかだ。

「ハハハ、やっぱ勇者ちゃん良いわ。あ、嫌味じゃなくてね」

相変わらずの笑み。

「分かってます、それぐらい」

こんな私の何が良いのかは分からないし、言われても理解出来ないだろうが。

「んー、流石だね。ホラ、受け取りな」

彼が取り出したのは緑ガラスのごく一般的な酒瓶。
ただ、ラベルの紙は色褪せていて、その酒が暗冷室でもの静かに生きてきた悠久の時がひしひしと感じられた。

それだけでも酒と言えば自家製果実酒である私には一歩引いて畏まるに値するのに、瓶口からグラスへと注がれる液体は何処までも透き通る黄金で、夕焼けに照らされた清流をそのまま捕まえてしまったかのよう。

コルクを抜いてから広がった香りもうっとりするような花蜜で、混ざり気なし、一種類の花を何処までも高尚に濃くした透明さだった。


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