過去ログ - おさかな目録?
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536:ズレた[saga sage]
2012/04/11(水) 23:39:47.33 ID:DSDNV2np0


「……、ボス?」

「例えばだが、能力なんて『スプーン曲げるならペンチが、火が欲しけりゃライターが』あれば必要ないとのセリフ、どう思う?」

「誰の言葉か知りませんが、本気で言ってるなら身包み剥いで山奥にでも捨ててやりたい程度のバカですね」

「それがどれほど我々魔術師にとって、いや人類全体にとって恐るべき意味を持つか……、その身で学ばせてやるためにもな」


「人間を物理的な方法で即死させるために必要な最小限の力、それはスプーンを曲げられる力の何百分の一なんでしょうね?」

「”その程度”のことであれば学園都市の学生、殆どが可能らしい。全くドコまでもフザケタ話だ」

「自覚の無いまま振るわれる異能。……実のところ、水槽の外から見ているだけでも寒気がしますよ」

「魔術は既存のルールの裏技。……そう。結局、既存のルールの一部なのだからな」


「素人が見れば、通常の物理法則を越えて常識を覆す様は魔術も能力も変わらないんでしょうが、本質は全く違う」

「魔術が想定する世界には能力など存在し得ない。当たり前だ、ヤツらは手前勝手に法則を拵えているのだから」

「表裏問わずあくまで世界の構成要素が効果対象たる魔術には、故にスプーンを曲げる能力を直接防ぐ手段が存在しない」

「より深刻な表現をするなら学園都市の学生180万人はほぼ全員、最強の魔術師を倒せてしまう力を持っている、だな」


「血反吐を吐き涙を啜り、全てを捨てた上で長年の修行に耐え、毫にも満たない確率を生き抜いてやっと得た至上の力が……」

「ぽんぽんと流れ作業で育成される学生たちの異能に劣るのだ。……、納得出来る者など居ないさ」

「完全絶対防御を魔術で構築しようとも、この世の法則ではない能力は守備範囲外。将棋で王将を放り投げられるようなもの」

「だからこそ魔術師が能力者と戦う場合、努めて魔術のルールで戦うのだがな。陸で勝てないなら水に引き込めば良いのだよ」


「……その考えで行くとこのドンコ、魔術師を表す記号って線が出てきますね」

「我々は、この水槽を見るのと同様に彼奴を、学園都市を、能力者を高みから観察しているつもりだった」

「ですが実態は、壁を通して監視しあう関係……、にも満たない。なにせ我々は外ではなく内だったのですから」

「水の中なら無敵も目指せるが陸に揚げられれば常に無力。そんな我々など、既に観賞の役にしか立たぬ……、か」 フン


「そのようにミスリードを促された可能性もありますがね……。少々皮肉が効き過ぎの感がありますし」

「かも知れん。朝から晩までパタパタするだけのブサイク魚一匹で魔術業界全体にケンカを売るなど狂気の沙汰だしな」

「彼は元から売ってますけどね。……でもやはり、我々が考え過ぎただけだと思いますよ? 何よりそう思ったほうが平和です」

「……そうだな。ともあれこのドンコに罪は無い。せいぜい可愛がって大事に育ててやろうじゃないか」





「ところでボス? この、腕に刺さったメカ的なモノ……、いつになったら抜いていただけるのでしょうか?」 エヘッ

「ん? ああ、勝手に抜け。…………、手順を間違えると強制起動するから気を付けろよ、と言っておいたほうが良かったか?」










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