39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2011/07/26(火) 22:01:19.99 ID:IUly5t9D0
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第三話「あれは嘘よ」
「ねえ、どうしてこんなこと私(わたくし)にさせますの?」
見滝原町の路上を運転しながら仁美は、急に助手席に乗り込んできた謎の転校生にむかって聞いた。
「一口ではいえない。とにかく私を信じて」
助手席でほむらが答える。「置いてかれるわ」といい、仁美にアクセルを無理やり踏ませる。
「きゃあああっ!」
車が急にスピードをあげる。仁美が黄色い声をあげる。
「いいわよ」対してほむらは、平静そうな声で囁く。
いま仁美は、勝手に助手席に乗り込んできたほむらによって半ば強制的に、美樹さやかの車の追跡をさせられている。
「どんな事情があって私(わたくし)にこんなことを?」
ハンドルを操作しながら、仁美がきくと。
「今朝、ゾンビに命を狙われたの」
ほむらが助手席で経緯を話した。向かい風を受けて長い黒髪をなびかせながら。
仁美はジトっとした横目でほむらを見やると、ひっそり嫌味を呟いた。「私だって狙いたいですわ」
「…」ほむらの紫の目が仁美を見返す。
二人の間に気まずい空気が流れ、ほむらはただ沈黙した。
「……その格好は?」
さすがに気まずさに耐えかねたのか、今度は仁美が自分から話題をふってみた。「……コスプレか何か?」
それでもほむらは無口のままだった。
が、考えたような間をしばらく置いたあとで、ぶすっとした口調でついに答えた。「…まあ……そんなところよ」
「そういうご趣味とは知りませんでしたわ」仁美は運転を続けた。
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