42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2011/07/26(火) 22:09:11.87 ID:IUly5t9D0
フロアを歩きつつ、仁美はCDショップへと向かう。その様子を、柱の影からひっそりとほむらが見守っている。
仁美は、その視線が自分を捉えている内は素直にほむらの言葉どおりにしたがっているフリをしていたが、
CDショップに入り、ほむらの目がもう届いていないことを確認するや、デハートの警備員に助けを求めた。
「すいません」
仁美は警備員に声をかける。
「あの、あそこにコスプレしている女の子がいるんですけど、あの子、頭がおかしいの。魔法少女とか
ワルプルギスとかワケ分からないことばかり言って、ずっと私を付け回しますの!助けてください!」
「みてきます」
警備員は答え、フロアに向かう。
「ありがとうございます…」
仁美は、ようやく身が開放されたことの安心に胸を撫で下ろした。
警備員はCDショップの人ごみを抜け、フロアに出る。
見ると、柱の影からこちらを覗き込む、制服のようなコスプレしているらしい少女の姿が確かにあった。
視線があうと、その少女がさっと柱に身を隠す。が、身は隠れても長い黒髪がはみ出ていた。
確かに頭のおかしな女らしい。
警備員は腰に携えたトランシーバーを手に取り出しすと、口元に添えて連絡を取りはじめた。
「ビックスいるか、ビックス?頭のイカレたストーカー女がいる。一人では手に負えん」
ビックスと呼ばれた黒人の警備員が、別フロアでトランシーバーに応答する。
「よーし、すぐいく」
それから、丁度話し込んでいた女性客二人にむかって、さわやかに笑うと言い切ってみせる。
「カッコいいとこ、見せますよ?」
女性客二人はウフフと笑みを漏らした。
「全警備員へ」
ビックスは宣言どおりカッコいいとこを見せるべく、自らトランシーバーで告知した。「三階で非常事態だ」
彼はその詳細を、たっぷり悪口も添えて伝えた。ほとんど愚痴をこぼすみたいな口ぶりだった。
「容疑者は女性、身長160cm、黒の長髪、胸は絶壁、コスプレ趣味の変態ストーカー女だ」
こうしてデパート内の警備員がフル動員されはじめたなかで。
三階フロアではほむらが、さやかを連れ出してくる仁美の姿をじっと期待して待っていたが。
美樹さやかが来ない代わりに何人もの警備員がフロアを移動し、明らかに自分に接近しているのを認めると、
ほむらは悔しさに唇をかみ締めて仁美に怒りの眼差しを向けた。
仁美は結局のところ、鹿目まどかを救おうとする自分を裏切ったのだ。
「…」
ほむらの怒ったような視線に気づいた仁美が、思わずCDショップの壁に身を寄せると、
じっと成り行きを見守った。
186Res/217.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。