過去ログ - 上条当麻「魔法少女には絶望しか残ってないっていうなら――!」
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931:ageたった…… ◆J0nZQhi5n4XG[saga sage]
2011/11/18(金) 21:50:28.88 ID:+yFvrRWg0
・恭さや遊園地デート補完

回る観覧車。
隣には、さやかがいる。
一個後ろのゴンドラがやたらと騒がしい。

「……ね、恭介。今日……楽しかった?」

「うん、もちろん。こうしてさやかと一緒に遊園地に来るのも久し振りだもんね」

「うん……そうだね」

やっぱり、こういう時はキスとかした方が良いんだろうか。
彼女はそれを望むだろうか?
……いや、僕がしたいだけか。
さやかのことを考えてるふりはやめよう。

「ねえ、さやか。ちゅーしよっか」

「う、うえぇ!?」

「嫌だ?」

「……良いの?」

ん?
よく分からない質問が来たな。
相変わらずさやかは、要らないところで気を遣うみたいだ。

「なんで僕がさやかとキスするのを嫌がるんだい?」

「前に言ったでしょ。あたし、ゾンビなんだよ? この身体は……とっくに死んでるんだよ?」

……なんだ、そんなこと。
本当、本当に――さやからしいと言えば、らしいんだけど。

「じゃあ逆に聞くけどさ……さやかは、僕にキスされるの、嫌?」

その一言で、さやかの頬が真っ赤に染まる。夕陽の赤すら霞むほどに。
ほら、そこに。僕は確かに君の温かさを感じるんだから。
さやかはゾンビなんかじゃないし、さやかは死んでなんかいない。

「……嫌なわけ、ないじゃない」

さやかが顔を真っ赤にしながら言う。
しばらく泳いだ視線は最後にぷいと僕から逃げて、
観覧車のてっぺんからの美しい景色に向いて、
でもやっぱりガラス越しの僕を見ていた。

「じゃ、いいよね?」

小さく頷いて、さやかが目を閉じる。
その真っ赤な頬も、凛々しい眉も、艶やかな唇も、何もかもが愛おしい。
この娘を異性として認識していなかった昔の自分が不思議なくらいだ。
……視点がひとつ変わるだけで、世界はまるっきりその姿を変えてしまうのかもしれない。
目の前の彼女が幼馴染から恋人に変わっただけで、こんなにも。
でもその変化は、とてもとても――嬉しい事のように、思えてしまうのだった。

そんなことを考えながら、僕はさやかに顔を寄せる。
後ろのゴンドラが、一段と騒がしくなった。


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