過去ログ - ほむら「あなたは何?」 ステイル「見滝原中学の二年生、ステイル=マグヌスだよ」
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853:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2011/08/30(火) 01:56:46.33 ID:lyXJ21Kvo

――杖が砕けたからといって、上条恭介はこれっぽっちも絶望してはいなかった。
 そもそも彼は杖の性能を当てにして魔女の下に飛び込んだのではない。
 自分の足の運びを補助する電極があったから街中を駆け回ったわけではない。
 もっと原始的な、体の内側来る言葉に出来ない衝動に身を委ねたに過ぎない。
 溢れ出る穢れと空気の壁を切り裂き、重力に身を任せる。

 魔女の下に届くまで、あと四メートル。

恭介(まだ……)

 瞬く間に精神を汚染する呪いを一身に浴びながら、それでも恭介はまだ自己と呼べる人格を保っていた。
 あるいはそれは、ここに来る途中で出会ったみょうちくりんな二人が施した『手助け』の影響なのかもしれない。
 もしかしたらそれは、彼の中に芽生え、息づいた希望がわずかながらに呪いを弾いたからのかもしれない。

 魔女の下に届くまで、あと三メートル。

恭介(まだ、動ける!)

 いずれにせよ、上条恭介はまだ生きていた。
 穢れの力を受けて下にしていた右腕はほとんど動かなかったが、辛うじて指を動かすことが出来た。
 最後の力を振り絞って身を捻ることが出来た。
 右手で“左手”を覆う包帯を解くことが出来た。
 右手の中にある十字架を左手に渡すことが出来た。それだけだ

 魔女の下に届くまで、あと二メートル。



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