過去ログ - 吹寄「この変態ストーカーが……!」
↓ 1- 覧 板 20
312: ◆ObanGQEW7M[saga]
2012/06/04(月) 01:44:52.25 ID:Gjcv3mPAO
***
消毒薬が外にいても臭ってくる。
まあ、僕の体に塗布されたものなので当然なんだけど。
うなだれてどれくらいの時間が経ったのだろう。
肩に積もる雪が体温で溶け、液体となり体を濡らす。
彼女に温かいと誉められた指先も、すっかり冷えてしまっていた。
あの時、手を握らなければ。必要以上に親密にならなければ。
今頃うなだれているのは吹寄さんで、僕のために泣いていたのかもしれない。
でも、それで良かったのに。
そうする予定だったんだ。
そして、誰かの足音。
「――あなたも捻挫に骨折に打ち身にとひどい有り様らしいのに
こんな所に居て平気なのかな」
「……」
外で見ると、まるで雪が擬人化したようにも見える。
ひたすらに白銀の少女は真っ黒な傘をさしていた。
「冷えちゃうんだよ」
「……何か用でもあるのか」
少女は何も答えずに僕のすぐ目の前まで近付いた。
331Res/223.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。