123: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/04(木) 20:25:56.26 ID:r56TljZ8o
黄泉川はこれからの予定を頭の中で組み立てながら、目の前の少女に声をかける。
赤みがかった茶髪のツーサイドアップ。両サイドで結われた髪の毛は、彼女が動くたびにサラサラと揺られる。
小さな体躯に似合わずスレンダーな体型で、パッチリとした二重の瞼。
成程、これがアイドルだ!って感じの見た目じゃん。
とか黄泉川は思うものの、目の前の少女からはイマイチ元気が感じられない。
以前テレビで見た時は、もっとはっちゃけた感じだったと記憶していたのだが。
「え、えっと……緊張しちゃって……」
久慈川は曖昧な笑みを浮かべて黄泉川の質問に答える。
その表情には若干の陰りが見え隠れしていたが、本当に緊張してるのだなと黄泉川は納得した。
「まあいいじゃんよ、これから「一日アンチスキル部隊長」って名目でうちの部隊を指揮してもらうけど、何か質問あるじゃん?」
「あ、いえ……分からない事があったらその都度聞いて行けばいいんですよね……?」
「ん、それでいいじゃんよ……てか、そんなんで大丈夫じゃん?
ちゃんと朝飯は食ってきたかー?」
元気があれば何でもできるじゃん!と黄泉川は快活に笑う。
そんな黄泉川を見て、久慈川もまたクスリと笑った。
「大丈夫です、仕事に入る時はスイッチ切り替えますから」
「お?公私使い分けてるのか?そりゃ凄いけど駄目駄目じゃんよ、子供はもっと好きなように生きるべきじゃん!」
こんな子供が公と私を使い分けている、と言う現実に黄泉川は少々驚いている。
公私混同というか、常に素で動いている黄泉川には考えられないだろう。
「あはは……いちおう、仕事ですので」
「そうかい、ならまあ……あんまり息苦しくならない程度にするじゃんよ」
「……そうですね」
黄泉川の言葉に、久慈川は再び少しばかり表情を暗くしたのだが、すぐに元に戻して同意の言葉を言った。
今度は先ほどとは違い、その陰りを黄泉川はしっかりと捉えていた。
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