226:今回一方さんでない ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/13(土) 01:41:18.99 ID:Sa0tuZ+9o
朦朧とする意識の中、吹寄制理は見た。
とある少年の顔を。
最初は、ふらつく身体を日射病か何かのせいかと思っていた。
しかし、自身の体調管理は普段から厳密に行っている。
特に、大覇星祭実行委員として働いている今は、殊更に。
だが、彼女の身体は重く、
日の下に居るとは言えそこまで言う程動いていないと言うのに、汗でべた付いている。
別の要因があるとするなら、心的疲労だろうか?
実行委員として大覇星祭を成功させねばと、一人肩肘張った結果、
知らない間にストレスを貯め込んでいたとか?
確かに、吹寄はこの大覇星祭を成功させるべく、色々と働いた。
慣れない力仕事や、審判の手順を暗記等、円滑に大覇星祭を進めるべく。
だがしかし、そんなことを上条当麻が知るはずはない。
なら、どうして?
(―――どうして目の前の男は、こんなにも悲痛な顔をしているの?)
別に上条の事は何とも思ってはいない。
はっきり言えば赤の他人だ。
そんな上条が、何故そのような顔をして吹寄の名前を叫ぶのか。
それが理解できない。
いや、確かに上条からは吹寄を心配する気持ちは伝わってくるのだが、
それ以上に別の何かを見ているように感じた。
まるで予定外の出来事が起きてしまった、と言う焦り。
それが見え隠れしていた気がする。
何か、大覇星祭の裏で予定外の出来事が起きている?
だとしたら、凄く嫌だ。
実行委員の皆で、この大覇星祭を成功させると誓った。
そして、学生も一般の人も皆に笑ってもらおうと、
頑張って準備してきて今日と言う日を迎えたのだ。
だから、目の前の上条にも、大覇星祭を楽しく過ごして欲しいと思ったのに。
そんな悲しそうで、悔しそうな顔はしないで欲しいと思う。
そして、吹寄は。
―――拳銃をこめかみにつきつける少年を視界に捉えた後に、意識を閉ざした。
その後すぐに、玉入れは一時中断を迎えた。
何でも能力のぶつけ合いをしすぎたせいで、
籠がバッサバッサとなぎ倒された為に玉入れどころではなくなったからだそうだ。
そんな訳で籠を直す作業のどさくさにまぎれて、
上条当麻は吹寄制理を担架で病院に運んでもらうよう頼み、その場を後にした。
その時吹寄を受け取った救急隊員は、「鬼の形相をした少年を見た」と供述している。
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