449: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/29(月) 01:18:08.32 ID:oqJcByqvo
「ハッハァーイ♪びっくりしちゃったカナ?怖がらないで出ておいでー?」
聞こえてきた女の声は、想像以上に自己主張の激しいものだった。
遠目に見る限りでも黄色を基調とした服で、
どう見ても御坂が相手をしている黒づくめとは違う人種だ。
そして、倒れ伏す人々の中で、あのように笑う人種とは。
(魔術師……か……?)
だとしたら、マズい。
何がマズいってどう見ても打ち止めより上条の方が狙われているだろう。
別にそれは構わない。
しかし、そうなった時打ち止めだけでも逃がしたとして、打ち止めが1人になってしまう。
とは2人で言え逃げ切れるかどうか、相手の力も出方も不明なのだから、分からない。
ならば、囮になるしかない。
「打ち止め、お前携帯は?」
「えっと……あれ?落としちゃったかもってミサカは―――」
「なら、これ持ってけ。とりあえず逃げろ。
一息ついたら一方通行でも誰でも連絡を飛ばしてくれ。
多分、あれの狙いは俺だ」
「でも、」
「打ち止めには辛いかもしれねぇけど、頼む」
「……分かったよってミサカはミサカは静かに駆けだしてみる」
そうして打ち止めが先程来た道を引き返すと同時に、上条は再び大通りへと歩いて行った。
そこには、変わらず女が雨に打たれていた。
ただし、その距離をゆっくりと縮めながら。
ターゲット
「さてさて、ようやく見つけた最初の被害者。
他にも居たけど、普通にこっちに気付かずに逃げられちゃったしねー」
じゃらじゃらと音を立てながら、その女は笑った。
あまりに女性に似つかわしくない醜い笑いに、
上条は少しだけ動揺しながらも口を開く。
戦わなくとも、とにかく打ち止めがここから離れるだけの時間稼ぎをする。
それだけで頭はいっぱいだった。
「お前、は……?」
「『神の右席』、前方のヴェント」
ヴェントは手にしていたハンマーを肩に担ぐように振り上げながら、続ける。
「とりあえず、まあ、ぶっ殺されてくれない?」
舌から垂らされた十字架付きの鎖から、唾液か雨水かが滴り落ちた。
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