533: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/09/09(金) 14:34:22.39 ID:5XMi+z0uo
・・・
木山春生は不気味に静まり返った研究所内を彷徨っていた。
人の気配を感じないこの異様な雰囲気に呑まれまいと、
ギュッと手を握りしめ、辺りをきょろきょろと見渡す。
……人は居ないはずだ。気配を感じない、だというのに。
嫌な予感がする。
木山の素人ながらに研ぎ澄まされた神経は、その予感だけを感じ取った。
気配は感じないが、誰かいるのではないか?という確信めいた予兆。
そして、それはすぐさま現実として現れる。
木山が居る地点の10mほど先に見える曲がり角から、
1人の女が出てきてその場から木山に語りかけてきた。
「止まってくださーい、アンチスキルです。
只今この研究所はテロリストが潜伏している恐れがあるので、この場に居ては危険です。
あなたここの研究者さんですよね?」
「あ、ああそうだが……」
一応木山は表向きはこの研究所で働いているという設定である。
そんな訳で女のアンチスキルに対して曖昧に頷いたのだが、少しおかしい。
確かに、アンチスキルはかなりの手練も中にはいるはずだ。
しかし、ここまで鮮やかに気配を感じさせない人間が、アンチスキルに何人いるだろうか。
戦闘に関しては門外漢な木山ではあるが、この研究所に軟禁されている間は人目を避けて
木原数多に関する情報を集めていたのだから、ある程度は人の気配を感じ取る事は出来るようになってきた。
とはいえ、意図的に気配を消している人間相手に、それを読みとることなどは出来ないのだが。
そんな木山だからこそ感じた違和感。
(目の前に居る人間は、本当にアンチスキルなのか?)
そこまで瞬間的に考えた木山は、とりあえずカマをかけてみる事にする。
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