560: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/09/13(火) 19:31:13.22 ID:7T4Cw5wio
「おしえ……ねぇっ!!」
「うおっ!?……だけどさ、『死』と向き合って、『死』を体感して、分かったんだ」
影の放った右ストレート、それをスウェーバックで衝撃を和らげると、
顔を回した方向に身体も回すことで勢いを付け、後ろ回し蹴りを影の側頭部目掛けて放った。
「何を分かったって!?」
上条の足は影に届いたかに見えた。
しかし、足の動きに合わせて影も側転した為に、上条の後ろ回し蹴りは空振りする。
そして影は一端距離を取ると、攻撃の手を止めた。
続いて、それを見た上条もファイティングポーズを構えつつも警戒を解く。
「俺が、お前に『死』への恐怖を押しつけていたって事だよ」
上条当麻が記憶を失って、そして上条の影と別れるまでに、
命を賭して戦った事は吸血殺し騒動の時しかなかったはずだ。
しかし、頭で覚えていなくても、心が覚えていた。
『死』の恐怖を影に押しつけながらも、それを見て見ぬふりをしていた自分が居たと言う事を。
そして、それに気付いたのが、召喚器に組み込まれた『黄昏の羽根』を通して『死』と向き合った時。
「人を助けて、怪我して。
俺が怪我するだけで事が済むならそれでいいと思ってたんだけどな……
それじゃ駄目だって事だよな……「誰もが笑って終われるハッピーエンド」、
そんな事考えてたけどさ、俺自身もそこに含まれているつもりになってただけだった。
だからこうして俺とお前が対峙する事になってんだ」
まあ、自業自得っつったらそれまでなんだけど、と上条は自嘲気味に笑った。
上条の謝罪に対して、影もまた笑った。上条の笑みとは違って、楽しげな笑みである。
「……その謝罪、記憶がある時に言えりゃあ説得力もアップするもんだがな」
「そりゃ悪かったな、記憶戻ったら改めて謝るわ。許してくれるかしらねーけど」
「まぁ、その時の態度によるなぁ。なんつーかこう、金一封でも持ってよ」
「……お前って意外と俗物なのな」
「……まぁ、『お前の分身』みてーなもんだしな」
影はそう言ってバツの悪そうな顔をする。
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