610: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/09/25(日) 07:26:22.37 ID:H2krb3OFo
「は、はは……ははははは!!!!」
木原数多は笑った。
喜怒哀楽のうち、「喜」だけを前面に押し出したような表情を浮かべる木原は、
自身が潜伏しているビルの窓から見える景色を見やる。
「あーっはっはっはっは!!!なんだよありゃ!?畜生アレイスターの野郎、どんだけ先に行ってやがんだ!?
悔しいなあ理論の理の字もわかんねーぞ!?科学者のくせに科学を否定するたぁ、何たる科学者だよオイ!!」
視覚では人工の天使から発せられる光の翼を捕らえ、
感覚ではこの場が学園都市出会って学園都市にあらずと本能的に察せられ。
アレイスター=クロウリーの言う『適合者』を探すという行為がどういうものかすぐに理解した。
「つまり、虚数学区ってのは、『あのテレビそのもの』ってことか!?
そして学園都市と言う箱庭を舞台に、虚数学区……いや、テレビの中を再現してみせたっつーのかぁ!?」
興奮のあまり思考がそのまま言葉になっているが、それを聞く者はこの場におらず。
「成程なぁ!だからこそ、『適合者』の選別ってことか!」
木原はチラリと背後を見る。そこには猟犬部隊だった人間達の棺桶が並んでいた。
この場で棺桶となっている者は、もちろんペルソナなど使えない。
その為にこのような棺桶姿となって影時間に気付かずにいるのだが、
それと似たようなものでテレビの中に入るにも、ペルソナを使えるかもしくはペルソナを使える者と共に行かなければテレビの中には入れない。
「つぅか、AIM拡散力場の塊に指向性を持たせるだけであんなことが出来んのかぁ!?
あぁ畜生ォ!!任務なんぞほったらかしてあの天使がなんなのか調べてぇなあ!!
間違いなくアレイスターの野郎が見てる景色に一歩以上近づけるはずなのになぁ!!」
木原は嬉しそうにキレると言う器用な真似をしながら、ガリガリと頭を掻くと同時に頭を抱える。
しかしここで文句を垂れていても仕方が無い事は木原自身良く分かっている為、
ひとしきり叫び声を上げ頭を冷やすと再びパソコンのモニターに眼をやった。
「……つか、『黄昏の羽根』がなきゃろくに機械もうごかせねーのな」
木原の居る部屋の温度を調整していた空調の音が消えていた。
更にはポツポツと光がともっていたビルの窓からは、全ての光が消え去っていた。
そんな中で、動かせている機械は、木原が扱うパソコンと。
「……」
こんこんと眠る打ち止めの頭に取り付けられた学習装置だけだった。
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