69: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/31(日) 21:16:12.32 ID:KC1gFRQvo
真っすぐな視線が建宮を射抜く。
嘘は許さないと言ったその視線に圧され、建宮は言葉を紡ぐ。
「助けたいと思うのに、法の書だとかなんだとか、理由がいると思うのか?」
それが、天草式の意志。
救われぬ者に救いの手を。
その意志は、今も昔も―――これからも変わらない。
「……そうか」
幼少時から悪意に晒されてきた一方通行が、建宮の言葉からは悪意を感じられないと思うのだから、それに間違いは無いのだろう。
一方通行は納得したように呟いた。
「なら、作戦がある。乗るか乗らないかは貴殿ら次第だ」
一方通行は有無を言わさず、語り始めた。
ローマ正教を分散させる事。
戦力を散らしたところでオルソラを連れた建宮が捕まる事。
恐らく、弱小勢力の頭領の首などどうでもいいだろう。
何より戦力が散っている今、時間の無駄は避けたいところだ。
故に建宮は放置され、オルソラはローマ正教に捕まるはずだ。
運が悪ければ建宮は始末されるかもしれないが。
そして本当にオルソラを助けたいだけなら、それで終わりだろう。
とはいえ、恐らくそうはならないと思われる為、
オルソラの首には『イギリス清教の庇護を得られるような』、簡易的な洗礼を行ったと言う事。
すなわち、ローマ正教がオルソラに手を出した時点でイギリス清教が動く、
と言う事実をローマ正教に思い知らせる事。
しかし250人と言う数を以ってすればそんな意見、丸ごと押し潰して隠蔽できるだろう。
故に分散させる。
天草式の、地の利を以って。学園都市に、オルソラがいると思わせて。
その数を減らして、「対等な」対話に持っていく為に。
後はその事実を隠す為に、ローマ正教に挑発して頭に血を昇らせる程度に思考力を奪えば良い。
「一ついいか?」
そこまで聞いたところで、建宮は一方通行に尋ねた。
「なンだ?」
「『イギリス清教』を使うのはどういう訳だ?」
「今英吉利清教なる教会の人間が一人か二人、あちら側についてる。信用できる者達だ」
「……それを信じろと?」
「故に乗るか乗らんかは貴殿ら次第だ」
どうしてイギリス清教の人間とつながりがあるのか。
気になる事は山ほどある。もちろん白髪の男の正体も。
だがしかし、この男の力は本物だとも思っている。
建宮はこんな『悪だくみ』を考える一方通行に、笑った。
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