過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:11:38.14 ID:ooW4dNWwo
とにかく、状況説明。ひたぎちゃんが、どうしてこのような憂き目に遭ったのか、僕は
翼ちゃんと一緒に聞いている。
小学五年生のとき、ひたぎちゃんは――本当に病弱な女の子だったらしい。
あるとき、名前を言えば誰でも知っているような、ひどい大病を患った。九割方助から
ないというような、それこそ医者がさじを投げるような、病状だったそうだ。
そのとき――
ひたぎちゃんの母親は、心の拠り所を求めた。
つけ込まれたというべきか。
おそらくはそれとは何の関係もなく――「本当に関係ないかどうかは誰にもわからない
よ」なんて知った風なことを、忍野は言ったが――ひたぎちゃんは、手術の結果、九死に
一生を得たそうだ。ひたぎちゃんが一命を取り留めたことで、母親は――ますます、その
宗教の教義に、のめりこんでしまった。
信仰のお陰で――娘が助かったのだと。
完全に、型に嵌った。
典型的症例という奴だ。
それでも、家庭自体は――かろうじて保たれていた。それがどのような宗派のどのよう
な宗教だったのか、僕には知りようもないのだけれど、少なくとも基本方針としては、信
者を生かさず殺さず――だったのだろう。父親の稼ぎが大きかったことも、元々ひたぎち
ゃんの家が素封家であったことも、その助けになっていたけれど――しかし、年を追うに
つれ、母親の信仰具合、のめりこみ具合は、酷くなっていったらしい。
家庭は保たれているだけだった。
ひたぎちゃんは、母親とは不仲になったそうだ。
小学校を卒業する辺りまではともかく――中学生になってからは、ほとんど口をきかな
かったらしい。だから、翼ちゃんから聞いた、中学時代のひたぎちゃんの姿が――それを
知ってからもう一度見ると、どれほど歪んでいたかが理解できる。
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