過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
↓ 1- 覧 板 20
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:28:48.47 ID:ooW4dNWwo
「羽川さんも――忍野さんの、お世話になったのよね?」
「うん。まあね」
ひたぎちゃんは、箪笥から白いシャツを取り出し、シャツのボタンを最後まで留めると、
その上から、白いカーディガンを着るようだった。どうやら、下半身より先に上半身のコ
ーディネートを済ませてしまうつもりらしい。なるほど、服には一人一人、別々な着衣順
があるものだと思った。もう僕の視線なんて全く気になっていないのか、むしろ僕に自分
の身体の正面を向けて、着衣を続ける。
「ふうん」
「だから―― 一応、信頼していいとは思う。ふざけた性格で、根明で軽薄な調子者だけ
れど、それでも腕だけは確かだ。僕だけじゃない、あのつばさちゃんもそうなのだから、
信用には足るだろ」
「そう。でもね、阿良々木くん。悪いけれど、私はまだ、忍野さんの事を、半分も信頼で
きてはいないのよ。彼のことをおいそれと信じるには、私は騙されすぎたわ」
「…………」
五人――同じことを言って。
全員が詐欺師だった。
そして。
それが全てでも――ないのだろう。
「病院にも、惰性で通っているだけだし。正直。私はもう、ほとんど諦めているのよ」
「諦めて……」
何を――諦め。
何を、捨てた。
二年間は――長すぎた。
94Res/88.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。