過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:54:25.86 ID:ooW4dNWwo
「一番好きな小説家は?」
「夢野久作」
「子供の頃の失敗談を聞かせてくれる?」
「言いたくありません」
「好きな古典音楽は?」
「音楽はあまり嗜みません」
「小学校を卒業するとき、どう思った?」
「単純に中学校に移るだけだと思いました。公立から公立へ、行くだけだったから」
「初恋の男の子はどんな子だった?」
「言いたくありません」
「今までの人生で」
忍野は変わらぬ口調で言った。
「一番、辛かった思い出は?」
「………………」
ひたぎちゃんは――ここで、答えに詰まった。
言いたくない――でもなく、沈黙。
それで、忍野が、この質問だけに意味を持たせていたことに、僕は気づく。
「どうしたの?一番――辛かった、思い出。記憶について、訊いているんだ」
「……お」
沈黙を守ることのできる――雰囲気ではなかった。
言いたくないと拒絶も出来ない。
これが――状況。
形成された、場。手順通りに――ことは進む。
「お母さんが――」
「お母さんが?」
「悪い、宗教に嵌ったこと」
性質の悪い新興宗教に嵌った。
そう言っていた。
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