過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 09:32:24.67 ID:ooW4dNWwo
「家族との思い出ってとっても大事だよね。今までどのように過ごしてきたか、寂しいと
きなんか小さい頃の出来事を思い出して一人暮らししたりするんだよね。まぁ――親不孝
者で忘れっぽい阿良々木君は、女の子のことしか考えていないんだけどね」
その言い分はあんまりだと思ったが反論できないし、反論する資格もない。いつも僕は
親のことなんか考えていない。
例えば、青いサヴァンの少年。
例えば、橙なる友人。
例えば、体重のない彼女。
例えば、完璧な委員長。
例えば、存在を知らなかった妹。
例えば、僕が殺した吸血鬼。
いつも自分の周りしか考えてない。いつも自分の罪しか見えていない。
「ねぇ、阿良々木君、どうして君はこんな所にいるんだい。親の元で仲良く暮らした方が
いいんじゃないかな」
高校生の一人暮らしは珍しいのかもしれない。だが、僕には帰れない。あそこにいれば
常に考えてしまうだろう。妹のことを考えてしまうだろう。
僕は彼女のように強くない。いやな記憶は思い出したくない。たとえどんなに大切でも。
「君は今、どうすべきなんだろうね。過去を背負いなおし真っ正面から自分と向き合うべ
きなのかね。それとも今まで通りこそこそ卑怯に生きていくのかな」
真っ正面から思考し続ける方がいいのだろう。でも、僕はそれをやらない。結果は火を
見るより明らかだ。どうせろくでもない回答しかでてこないことを僕は知っている。
「自分を否定して、すべてを否定して、世界を否定しつづける。不幸にならない生き方だ
よね。そのかわり、不幸にもならない」
まったく、いつも見透かしたように、なんでもかんでも正しいことを言ってくれる。
見透かしているのに、好き勝手に言ってくれる。
見透かしているからこそ、好き勝手を言ってくれる。
だから、僕はただ黙る。何を言われても、黙り続ける。
何を言ったとしても戯言になるだけなのだから。
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