過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:03:07.67 ID:ooW4dNWwo
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「み――見えます。あのときと同じ――あのときと同じ、大きな蟹が、蟹が――見える」
「そうかい。僕には全く見えないがね」
忍野はそこで初めて振り返り、僕を向く。
「阿良々木君には、何か見えるかい?」
「いいえ、何も見えません」
「だそうだ」
ひたぎちゃんに向き直る忍野。
「本当は蟹なんて見えて、いないんじゃない?」
・ ・ ・
「い、いえ――はっきりと。見えます。私には」
「錯覚じゃない?」
「錯覚じゃありません――本当です」
「そう。だったら――」
忍野はひたぎちゃんの視線を追う。
「だったら言うべきことが、あるんじゃないか?」
「言うべき――こと」
そのとき。
特に、何か考えがあったわけでも、
何をするつもりだったのでもないだろうけれど、
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ひたぎちゃんは――顔をあげてしまった。
多分、状況に――
場に、耐え切れなかったのだろう。
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