過去ログ - 勇者「魔王が勇者一族に呪いを掛けたけど治った」
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897: ◆SHpOT25On.[saga]
2012/03/27(火) 03:21:04.77 ID:h2/dI4noo
勇者「・・・嵐島も、素晴らしい風景だった。海は大荒れなのに、雲一つないから波の一つ一つが太陽に照らされてすごく綺麗なんだ。」

女魔法「・・・。」

勇者「夕焼けの時に出来る、波に出来る陰影が、また綺麗だった。荒れ狂う海に太陽が沈む様は、なんとも言えない感動を覚えた。」

女魔法「・・・。」

勇者「・・・あそこには、大きな木も有った。本当に、大きい木が。見上げても上はどれだけ長いかもわからない。囲むのに何人必要かも分からない。」
勇者「その気に巻き付く蔦や、生えていた苔などが、重厚な雰囲気を醸し出していて一体何千年生きていたのか分からないくらいの大きさ。」

勇者「・・・大蜘蛛を殺す時に、倒してしまったのだが。あれは惜しい事をした。」

女魔法「倒しちゃったの?」

勇者「あぁ・・・。また規格外の大きさの蜘蛛が居てな。そいつを討伐する時に決め手に欠けて、今言った木をトドメに使ったんだ。」
勇者「倒れた木を見ても、まだ雄大さを感じられた。」

女魔法「・・・。」

勇者「そういえば、覚えてるか?温泉が有った山の麓の村。あそこの山の紅葉は素晴らしかったな。」

女魔法「・・・覗かれた時の村?」

勇者「あ、あれはわざとじゃないからな?」

女魔法「・・・。」

勇者「あ、あー・・・。そういえば次に立ち寄った港で俺は初めて宿屋に泊った。中は見た事無かったからなかなか新鮮だった。」

勇者「・・・本当、今思い出しても、鮮明に蘇る。」
勇者(しかし、一番身近な絵だけが、足りない。今も、後ろで寝ているはずだったのに。)

勇者「・・・。」
勇者(・・・俺は、その時傍に居れなかった。守ろうとする事さえ出来なかった。)

勇者「・・・・・・。」
勇者(俺は、大事なその時に居る事が出来ない。僧侶が悩んでいた時も、商人が連れ去られてしまったその時も。)

勇者(肝心な時に役に立たない・・・。)

女魔法「・・・。」

女魔法「勇者。」

勇者「っ。なんだ?」

女魔法「寝癖ついてる。」

勇者「む、そうか?直す癖は無いからな・・・。」

女魔法「髪梳いてあげる。」

勇者「え?」

女魔法「あっち向いてて。」

勇者「あ、あぁ。」

スッ・・・スッ・・・

女魔法「・・・。」

勇者「櫛、持ってたんだな。」

女魔法「僧侶がくれた。」

勇者「なるほど・・・。」

スッ・・・スッ・・・

勇者「・・・。」

女魔法「・・・。」


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