過去ログ - 今日この板を見つけた俺がおまえらの書き込みから適当に物語を進める
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[saga]
2011/07/31(日) 18:42:27.07 ID:7NkKhr4d0
苛立ちが起こることは全く無かった。
それ以上に、自分自身に失望していたのだと思う。
どうして、こうなってしまったんだろう。僕には何が足りないんだろうか。
掴めるはずもない欠損している部分へと必死に手を伸ばす。
どこにあるのか。どんな形なのか。どんな感覚なんだろう。
わかるはずもないままぼんやりとしているといつの間にか家の前へと到着していた。
一軒家で、二階建て。
鍵穴に鍵を差し込みながら左を向く。幼い頃に遊んだ庭が荒れて放置されていた。
これは紛れも無く、僕らの家庭の代弁者だ。
「ただいま」
帰宅の挨拶をしても、応えるものは誰も居なかった。
玄関口には靴が二足並んでいる。擦り切れた革靴と、綺麗な婦人靴。
その横に薄汚れた僕のスニーカーが並ぶ。
居間からはテレビの音声が流れてきていた。
ちらりと覗いてみると父親が寝そべり、手で頭を支えながら僕へと背を向けている。
母親が死んでから父親はいつもこんな様子だった。
見ても、聞いてもいないテレビを一日中つけっぱなしにしている。
静寂が、怖いんだろう。僕は孤独に慣れていたけれど、いつも陽気に過ごしていた父親には未知との遭遇だったのかもしれない。
二階へと続く階段に足をかけて、上る。
上り終えた後、息切れがした。一日中机の前に座っていることからくる運動不足の証拠だ。
自分の部屋へと入り電源を入れっぱなしにしているパソコンを操作する。
すぐにお気に入りの掲示板へとアクセスして、今日の旨を書き込んだ。冗談交じりで、深刻さをできるだけにおわせないように。
(こんなところにまで見栄を張るのか。いや、掲示板の空気が悪くなってはいけないだろう)
誰かへの言い訳とともに送信が終わり、掲示板に僕の文章が表示される。
すると、瞬時にレスポンスがついた。僕を煽りたてる文章だ。哀れむような口調で扇情的な書き込みがいくつも並ぶ。
おかしいな、と思い、調べてみると、外部サイトからの突撃を受けているのだとすぐにわかった。
自然と舌打ちが出る。
「VIPでやれよ」
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