過去ログ - 今日この板を見つけた俺がおまえらの書き込みから適当に物語を進める
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]
2011/07/31(日) 19:11:37.60 ID:7NkKhr4d0
呟いた後、そこではじめて苛立ちを覚えていることに気がついた。
編集者に「書かなくていいよ」と才能を全否定されたときよりも、今、お気に入りの掲示板で煽られたことのほうが苛立つ……?

「馬鹿な」

先ほどの自分の心情を思い返すまでもなく、心のどこかで僕は同意していた。

「そうなんだろ? お前は結局話題になりたいだけだ。現実で会話する相手が居ないから、インターネットで私生活を曝け出したい。そうだろ?」

(そんなはずはない! 僕はコミュニケーションを図るサイトと利用してなんていないし、そんなサイトを嫌ってる。
 自分の私生活を逐一報告するだなんて、自分が何か優等な存在と勘違いしているんじゃないか。お前の日常になんて誰も興味はないんだよ

「それじゃあ、どうして「おかしいな」と思ったんだ? 慰めの言葉を予想していたのに別方向の言葉を受けたからじゃないか?
 自分の将来の夢へと繋がる手段を断絶されたとすれば、普通、感情を爆発させると思うがね。怒り、悲しみ、どんなものかはわからないけど」

(違う。今はただ唖然としているだけだ。あまりのショックに感情が追いついていないだけだ。
 もうすぐしたらやってくるさ。感情の激流が。そうさ。お前が思うような、自分一人じゃあ抱えきれない感情の洪水が。
 それに、一度否定されたくらいでへこたれてたまるか。こんなことで傷ついていたら、創作者なんてできやしないんだ)

「そうか。お前が言うんならそうなんだろうな。自分自身のことはお前が一番わかってるよなあ」

(黙れ!)

頭に血が昇っているのがわかる。違うぞ。この怒りは編集者に向けてだ。

表示されているページが自動的に更新された。
僕は切り替わったページに新しく僕へのレスポンスがついているのを見つける。
この掲示板の常連さんであり、僕自身をよく気にかけてくれる方だった。確か、境遇も似たようなものだったと記憶している。

>>352さん、諦めてはいけませんよ。その編集者に見る眼が無かっただけですよ。
 私は>>352さんの作品を拝見したことはありませんが、文章の書き方や時々公表なされる一枚絵はとても素人とは思えません。
 >>352さんの漫画へとかける並々ならぬ情熱は今までの会話から、私も理解しております。
 今回の出来事にめげずに、どうか素晴らしい作品を作り上げると信じております』

文章を読んだ途端、頭から血が引いていくのがわかった。溜飲が下がり、意欲が沸いてくる。
時計を確認すると十二時三十分。今日はまだまだ残っている。次回作品へと取り掛かろう。

その前に、感じている空腹を癒そうと考えて一階へと戻る。
扉を開けると窓から入る明るい日差しに思わず眼を細める。

フローリングを歩き、テレビへと顔を向けている父親の背後を通り抜け、キッチンへと至る。
料理なんて野菜炒めか炒飯しかできない人間なので、僕は迷わず、買い溜めしてあるにカップラーメンへと手を伸ばした。

テーブルの隅に置いてあるポットの頭を押していると、父親がこちらを振り向いた。
頬に刻まれた深い皺。いつもしかめている眉根。広い肩幅に、堂々とした態度。僕は厳格が皮を被ったような父親が苦手だった。

それも、母親が死んでから特に、だ。
母親の年齢は父親の半分にも満たなかったため(なんと、僕よりも年下なのだ)、先立たれた彼女への想いは容易に想像できた。


天気予報のお姉さんをやっていた母親が、朝の生放送中に刺された十年前のことを思い返す。


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