過去ログ - 今日この板を見つけた俺がおまえらの書き込みから適当に物語を進める
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(大阪府)
[saga]
2011/07/31(日) 18:26:11.10 ID:7NkKhr4d0
「書かなくて良いよ」
「は?」
「書かなくて良いって。はい、お疲れ様でした」
投げやりな編集者の言葉に僕は肩を落とした。また、これだ。
家で頬を緩ませながら漫画を書き上げて、出版社に電話をして予定を取り付けて持ち込んで、駄作の烙印を押される。
一連の流れが何度も続いてしまうと相手方も僕の存在を理解してしまい、やがて真面目に漫画を読まれているのかもわからなくなった。
そんな現状をどうにかして打破したいと思い、「どうすればいいですか?」と問いかけた。
そして、この一言だ。「書かなくて良いよ」幼い頃からの夢だった僕の全てを否定する一言だった。
助言のしようがないほどにまで才能がないのか、その才能はどの部分に依存しているのか。
作画? 話の構成? キャラクターの造形? 根本的な創作の才能……?
「あ……」
唖然としているだけでは、いけないぞ。
どうしてそう思ったのか聞かないと、僕は次へと進めない。
しかし、我に返ったときにはもう全てが遅かった。
煙草をくわえながら僕の原稿を読んでいた編集者はもう席を立ち、どこかへと消えてしまっていた。
向かい合って座っていたはずの彼の代わりに、灰皿に残った煙草だけが残っている。先端が橙色に光っている煙草がやけに印象に残った。
仕方なく僕も立ち上がり、机と紙束がひしめく編集部へと礼を言ってから退室した。
世の中に出版された文字や絵を凝縮させれば、一つの惑星くらい作れるんじゃないか。
何気なく感じたことだったが、突き詰めていけば中々面白そうな題材ではないか?
次の題材はこれにしよう、と意気込んだが、すぐに編集者の言葉が頭をよぎる。
『書かなくていいよ』
一体、僕はどうすればいい。
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