過去ログ - 今日この板を見つけた俺がおまえらの書き込みから適当に物語を進める
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49: ◆LeqE6uV6e6Od[saga]
2011/08/01(月) 21:21:46.48 ID:VLVsNVVk0
そうだ。
大学二年生の時に、僕が誕生日を祝ってやろうと下宿を訪問すると、天井から吊り下がっていたじゃないか。
窓側へと顔を向けて、まるで空や星でも見ているかのように。命を終わらせてからも空を見上げられるように……。

幼馴染が自殺した後に噂で聞いたことだが、巨額の借金を背負っていたらしい。
机の上に置かれていたという遺書には『勝負に負けた』と彼の筆跡で書かれていた、と事情聴取に来た警察官から聞かされた。

まだ未成年だった彼がどうやってそんなに借り入れられたのか、そもそも金を浪費するような人間ではなかった、など、
色々な風評と謎が飛び交ったが、真相は闇の中で、ただ一つの不変の真実は僕の幼馴染が現世を去ったということだった。

「これから、どうする?」

再び疑問文が向けられる。
どうする、とは、どういうことだろう。返答しようにも、僕には口がないので出来なかった。

このときに、僕は理解したのだ。
受動的なものだけを僕が受け入れているということを。                  ・ ・ ・ ・
眼を開けていたら見えてしまう。耳がついていたら聞こえてしまう。しかし、口は開かなければ声は出せない。

能動的行動を表現することが、僕はできないのだ。

不意に、腐敗臭が鼻(あるかどうかわからないが、とにかく嗅覚を刺激されたのだ)をついた。

幼馴染の眼球が眼窩から零れ落ちそうになっている。顔面は紫色をしている。
首にはロープが巻きついていて、上空へと伸びている。眼で追ってみると果ては見えず、天国から吊り下げられているらしかった。
天国から天使たちが人間を餌にして釣りを楽しんでいる風景を想像する……。

「これから、どうする?」

意識が逆流する。


僕は青色の景色の中に立っていた。
足元を見ると汚れ一つない白色の床で、柔らかそうに見えるのだが伝わる感触はしっかりとしたものだった。
周りには談笑している老人たちや、サッカーボールを蹴りあっている子どもたちがいる。全員が笑顔で過ごしているようだった。

(天国だ)


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