17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/03(水) 02:29:10.05 ID:UwF03LhUo
唯が軽音部の夏合宿から帰宅した翌々日。
ご両親の赴任先に向かうため乗った空港行きの高速バスが、多重事故に巻き込まれた。
バスは運悪くトレーラーと橋の欄干に挟まれる格好となり、
乗客に多くの死傷者を出すことになってしまったそうだ。
事故の仔細は、葬儀中ずっと後ろに立っていた近所のおばさんたちの会話で知った。
葬列には、互いの肩を抱いて泣きじゃくる澪と律、ムギの姿が見えた。
それから今にも崩れ落ちてしまいそうな梓ちゃんと、彼女の小さな身体を支える山中先生。
他にも見知った制服姿の子が居たように思うけれど、誰だったのかは全く覚えていない。
私はというと、喪服姿の父に肩を抱かれたまま、涙の一粒も流せずにいた。
ショックが大き過ぎて現実を受け入れられないのだろうと同情の目を向けられても、
ただぼんやりと、綺麗な花で縁取られた唯の笑顔を見ていることしかできなかった。
……唯の葬儀が終わって、3日目の夜。
それまで一切食べ物を受け付けなかった胃が空腹に耐えきれず鳴いたとき、
私はようやく声をあげて泣いた。
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