過去ログ - 藤木「最近さぁ、「2ちゃんねる」にハマッてるんだよね」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)
2011/08/05(金) 10:01:37.00 ID:VsP7IYaY0
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永沢と藤木は15年来の友達である。
同じ小学校や中学校、高校までずっと一緒で、入った大学は違ったけれど、腐れ縁に友情を感じるところから三日と空けずに会っては、陰湿な永沢が、臆病な藤木に意地悪を言って、でも藤木が永沢を持ち上げることで、これまでその奇妙な友人関係を守られてきた。
二人が大学に入るまでは。

永沢は地元のCランク大学に進学し、藤木は、同じく地元のFランク大学に進んだ。
最初、永沢は自分よりも下の大学に入った藤木を馬鹿にして満足していた。
が、それも一年の後期までだった。
藤木は大学に入ってから変わってしまった。
自信の無さそうな、おどおどとした態度は相変わらずであったが、髪は茶金髪に染まり、服のセンスも格段に良くなり、いつだかはサークルの友達と旅行に行ったことを楽しそうに話して、充実した大学生活の爽やかな気配を漂わせていた。
居酒屋でバイトも始めたらしく、金を貯めて車を買うだの言っていた。
一方、永沢はと言うと、もう入学して一年半が経つのに、新入生のオリエンテーションの時から誰とも話していない。永沢は学内に友達がいなかった。
最後に話したのは学生事務課の職員である。それも友達がいないことで情報の伝達が上手く行き届かず、提出物が遅れたために、学生課の職員から呼び出されたのだ。
バイトの経験はなし。親から貰う月2万の小遣いでちまちまやっている。

永沢は「ぼっち」でかつ「非リア」だった。
今まで自分が見下してきた藤木の方が高い適応能力を持っていた。
だから、卑屈で考えの歪んだ永沢は、学校やバイト先の人間関係に順応する藤木を、流され易く自分を持っていない奴だと言って、さらに見下していた。
でも、どうしてなのだろうか。空虚なんだ。すーっ引いていくような虚しさがある。
あんなに藤木は楽しそう。あんなに面白そうにしている。
それが何よりもつまらなかった。

永沢は孤独だった。
いつしかその心の中の蟠りを、「2ちゃんねる」にぶつけるようになった。
名無しでいたのは僅か数日。すぐに固定を名乗ったのは、自分のこのモヤモヤする思いの所在を明らかにしたかったからだと思う。


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