過去ログ - エリー「私と5つの物語……///」
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/05(金) 21:28:21.17 ID:rkRztRK1o
初夏の朝、花咲く庭で私は膝の上の本を開きます。
これはとても不思議な、ある少女の物語。
好奇心旺盛な彼女は不思議なうさぎを追って、花咲く草原からうさぎの巣穴に落ちてしまうのです。
そして、おとぎ話のような世界でいろいろな動物やものに出会います。
たとえば、森の中で出会った芋虫からもらった、食べると背が伸び縮みするきのことか……
そのとき、石の上を歩く足音がして、私は顔を上げました。
アーチを抜けたところにネロが立っていました。きのこを抱えています。
ネロ「あれ……エリー?」
心なしか愁いを帯びた声。その目に浮かぶ水滴に朝の日差しが光を宿しました。
エリー「泣いてるの……?」
ネロ「えっ……泣いてないよ……」
その言葉に全く説得力はなく、ネロはただ力なくつぶやいただけでした。
私は立ち上がり、そっとネロのそばに立ちます。
顔を伏せたままのネロをそばでそっと見守ります。
ネロ「これ、あげる」
ネロは私にきのこを押しつけました。
エリー「……どうしたの?」
ネロ「いいから」
視線を合わさず、うつむいて立っているその姿はまるで悲しみを一人背負って立っているようでした。
そのとき、私はネロの手に2本の黄色いリボンが握られていることに気がつきました。
エリー「それ、可愛いリボンね……」
ネロの肩が震えました。
ネロ「これは、コーデリアが……っ」
ネロはそれだけ言うと、いきなり私に抱きつき、子供のように泣きはじめました。
エリー「ネロ?」
ネロ「コーデリアが、これっ、結んでくれて……」
エリー「うん……」
ネロは嗚咽混じりに語り始めました。
ネロ「それで……嬉しくって、僕もお返しに……コーデリアに、これ、あげようとしたんだけどっ……」
エリー「きのこ?」
ネロ「うん……でも、きのこ採ってきた僕の手、土だらけだし……それに、きのこなんかもらっても、嬉しくないと思って……」
エリー「……どうして?」
ネロ「だって、コーデリアはリボンくれたのに、きのこなんて、こんなの全然女の子らしくないし……」
エリー「でも、コーデリアさんはきっと喜んでくれると思う……」
ネロ「でも、……でも、僕はもっと女の子らしいプレゼントをあげたかったのに……」
エリー「ネロ……」
ネロは声をかみ殺して涙を流しました。
ネロ「だから……それで……」
エリー「リボンをほどいて飛び出してきちゃった?」
ネロ「うん……」
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