過去ログ - エリー「私と5つの物語……///」
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61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/05(金) 21:38:50.22 ID:rkRztRK1o
第4話 初恋
まだ夕暮れにならない昼下がりには、一日の終わりを前にしたやさしい静けさがあって……。
そんなときのこと。
窓辺で読書をしていた私はいつのまにか、庭で動物と戯れるネロを眺めながら、近ごろ感じるふしぎなこのきもちについて考えていました。
それはまるで、そろそろ梅雨も明けるこの時期の、うっすらとした今日の雲のような、それでいて重さのある、ふしぎなきもち。
わけもなく、ため息がもれるのでした。
私はふと、本をながめます。
エリー「プルミエ・アムール……」
初恋。きっとこんな気持ち……。
私は本を閉じます。
エリー「ねえ、シャロ……///」
シャロ「なんですかー、エリーさん」
ベッドに寝転がっているシャロはかまぼこを抱いたまま無邪気に私を振り返りました。
エリー「あの……恋って、どんなかんじなのかな……///」
シャロ「恋ですか?」
エリー「うん……/// どんな、かんじなのかなあ……」
窓辺の椅子から見える外の庭では、曇り空の下で木々が眠っています。
なにも音はせず、鳥の声だけが遠くに聞こえます。
シャロ「んーと、なんだか奇妙な現象らしいですねー」
エリー「うん……」
シャロ「好きな人のことを考えると、胸がきゅんきゅん勝手にするらしいです!」
エリー「好きな、人……///」
胸がきゅんきゅんするとき。
それはたとえば、ネロと目があったり、言葉を交わしたり、そして時には肌がふれあったり……。
そんなとき、私はふしぎなどきどきを感じることがあるのです。
なぜだかわからないけれど、それは、とってもしあわせで、それでいて、どうしようもなく苦しいような、そんなどきどき。
鳥の声がかすかに空高く聞こえます。
シャロ「エリーさん」
シャロは不意に真面目な目で私を見たのでした。
シャロ「エリーさんは、ネロのこと……」
私は眼を伏せてシャロから視線をはずし、そして眠った灰色の雲を見上げてつぶやきました。
エリー「そうね……」
無音の中で、それでいて確実になにかが終わろうとしている、そんな気がしたのでした。
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