過去ログ - エリー「私と5つの物語……///」
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71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/05(金) 21:50:27.23 ID:rkRztRK1o
そこは学院内にある教会でした。

ゴシック様式の高い塔と尖頭アーチが暗い空に延びています。

雨の中に黒くそびえたつ姿は怖いというよりも、むしろ守ってくれそうな印象を与えます。

重い扉をそっと開きます。

教会の中は暗く、ほのかな光でようやく近くが見えるほどでした。

私は身廊をまっすぐ歩きます。

石の床を歩く音は反響して広い教会の空間に不安げに漂いました。

そして私はアプシスの前に立ち止まり、もっとも奥にあるステンドグラスを見上げます。

ステンドグラスには神様と聖母と、真っ白な天使が描かれています。

いつもは天から降り注ぐような強い光も、今日は頼りないかすかな光です。

シャロ……

心に浮かぶのはただシャロのことだけ。

いまどこにいるのか、どうしているのか。

思えば、シャロはずっと近くにいました。

朝起きるときも、夜寝るときもずっと一緒。

今朝だって、起きたときには、手が届くところにシャロがいて……

そう考えた瞬間、私は不意にとても怖くなりました。

ついさっきまで、すぐそばに、触れられる距離にいたのに、もういない。

今朝、制服を着るのを手伝ってあげたシャロ。リボンをなおしてあげたシャロ。退屈そうに足を揺り動かしていたシャロ。

そして、うれしそうに笑うシャロ。

そのすべては、当たり前のようでいて、私が心の底から愛していた大切な人。

もしも……もしも、その笑顔が見られなくなったら……

私にとってそれはあまりにも怖く、想像すらできないことでした。

ただ胸に手を当てて、不安な思いを抑えつけるのがやっとです。

どうか無事でいて……

目を閉じ、苦しくて切ない祈りに似たその思いを私は胸の中で一人抱きしめていました。


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