過去ログ - エリー「私と5つの物語……///」
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75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/05(金) 21:54:27.63 ID:rkRztRK1o
後ろで扉を開く音がしました。

振り返ると、まぶしいほどの白い光が射し、そのなかにふたつの影が見えました。

私はふるえる足で立ち上がり一歩踏み出しました。

エリー「シャロ……?」

目の前の存在が現実なのか、幻覚なのか。私にはわかりません。

ただ、私は長い身廊を、その姿だけを見つめてゆっくりと歩み続けました。光の射す方に向かって。

教会の外、明るい朝の光があふれる野に、アンリエットさんと一緒に、そこにたしかにシャロがいたのです。

エリー「シャロっ……!」

シャロ「エリー、さんっ……」

私はこれ以上なにも言葉がでませんでした。

いままで出なかった涙が急にあふれだして止まりません。

ただ、シャロに歩み寄り、ぎゅっと抱きしめます。

いま確かな現実として、暖かさを持った存在として、シャロを抱きしめます。

シャロも涙を流して私の身体を抱きしめてくれます。

そして私たちは雨のしずくが残るやわらかい草の上にふわりとひざをつけました。

ふたりとも力が抜けてしまい、お互いを抱いて泣くことしかできなかったのです。

エリー「よかった……よかった、シャロ……」

シャロ「エリーさん……ごめんなさいっ、心配……かけて……」

エリー「ううん……戻ってきてくれて、ほんとに、ほんとに嬉しい……」

胸の中に思いつづけていた言葉をやっとの思いで伝えます。

シャロ「エリーさん、これ……」

そういってシャロが差し出したのは……なずな。

天使の翼のように白い可憐な花がその手にあったのです。

シャロ「エリーさんに、ありがとうを伝えたくて……」

その白が涙で滲み、何も見えません。

エリー「ありがとう、シャロ……」

その花を受け取り、シャロをぎゅっと抱きしめました。

シャロ「エリーさん……」

いちばんしあわせなこと。

それはとってもかんたんなことで、だいじな人と一緒にいられること。

いちばんかなしいこと。

それはだいじな人と会えなくなること。

私はシャロをしっかり抱きしめながら、もう二度と、私のだいじな人を離さないと、強く思うのでした。


第5話 祈り おしまい


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