過去ログ - 憂「どうして私は憂って名前なんだろう」純「なんでだろうね」梓「知らないよ」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/08/07(日) 00:46:34.92 ID:71QLmrIH0
違う容器に移し変えて、もう一度ミルクを黒猫の前に差し出した。
え?新しい牛乳を出したほうが手っ取り早い?冗談じゃない。
こんな図々しい野良猫相手に牛乳を出してやってるだけでも、全米が号泣して地に伏してもいいだろう。
黒猫がもう一度、鼻の先をミルクに近づける。
足りない脳みそを必死に使って考えているのか、少しためらってから猫は舌を出した。
唯「おお、飲んだ!」
お姉ちゃんが嬉しそうに声を弾ませた。
不覚にも私まで嬉しくなった。別に猫がミルクを飲んだのが嬉しいんじゃない。
お姉ちゃんが嬉しそうにしたからだ。はい、ここ重要。
一分もしないうちに、猫はミルクから顔を離した。大して量は減っていなかった。
用は済んだと言わんばかりに舌舐めずりすると、猫はさっさと背中を私たち姉妹に向けて歩き出した。
金を出せとは言わないから、礼ぐらい言えよ。
そんな私の内心を見抜いたわけではもちろんないだろうが、黒猫は一度だけ振り返って鳴いた。
うん、多分礼を言ったわけではあるまい。
おおかた、『あんまりうまくないですね』とか文句を言ったにちがいない。
去っていく黒猫の背中を、いつの間にか雲と雲の間から顔を出した月が照らしていた。
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