過去ログ - アレイスター「鋼盾掬彦、か……まったく、たいしたイレギュラーだよ」
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330: ◆FzAyW.Rdbg[saga]
2011/09/01(木) 21:31:22.82 ID:9/crZxkio




「驚異的な記憶能力を持つ人間の話は無数にあるが……そうだな、私が一番興味を持った人物の話をしようか。
 君たちは“シィー”……エス・ヴェー・シェレシェフスキーという人物の名前を聞いたことがあるかい?」

「いやー、さっぱり……コウやん、どない?」

「ぼくも、知りません。なんとなくロシア人かなーなんて思うくらいで」

「ん、無理もない、なんたってソビエトの頃の話だ……シィーはラトビア生まれのユダヤ人でね、君のいう完全記憶能力者だよ。
 新聞記者を生業とし、時々その『完全記憶能力』を生かした記憶ショーを副業にして生計を立てていたそうだ」


 ショー、見世物、吃驚人間。

 いつの時代でも人びとは「異なるもの」を見たがるのだろう。

 年に一度の大覇星祭に訪れる「外」の人たちの熱狂を思い出す。

 ……自分は結局見世物にもなれなかったわけだが。


「例えば、黒板にチョークで大量の数字を書いたとしよう、縦に10、横に10の計100の数表をイメージしてくれ。
 シィーは数表を注意深く見つめ、目を閉じ、再び目を開いて……それでもう記憶は完了だ」


 中空に指で数字を書くようなジェスチャーを交えながら、講義は進む。


「黒板に背を向けた彼は、その数表を順方向にも、反対方向にも、対角線の順番にでも言うことができたそうだよ。
 数表が500でも1000でも同様に、ね。まるでカメラで撮影するかのように、彼は全てを記憶してしまう」

「……はー、それはすごい……暗記科目は満点やね。
 パソコンもネットもなかった時代、随分重宝されたんやないですか?」

 
 白衣の女性の語りは、静かで、それでいて染み入るようで、なんとも耳に心地よい。

 鋼盾も青髪も、ぐいぐいと話に引き込まれてゆく。






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