5: ◆/QmNa/cU6Y[sage saga]
2011/08/10(水) 20:28:01.11 ID:1d+/BFpAO
「ここに泊めろだと!?」
声を荒げたのはこの町の町長で、ふくよかな体つきにアゴヒゲを蓄えた気性も肌も荒い。
結局町には宿がなく、男は仕方無くやって来たのだ。
「使っていない部屋のぐらいあるだろう。どうか一晩泊めてはくれないか。」
言うなり男は頭を下げた。
「何を馬鹿な!どこの誰とも知らない奴をホイホイ泊めるとでも思ったか!!」
町長の怒声を聞きつけ、妻と息子らしき二人が部屋から出てきた。
「私は反対だわ!第一余っている部屋なんてありませんもの!」
「そんなわけだからさあ、さっさと出てってくんない?残念でしたー!」
着飾った女は顔の皺をさらに増やす勢いでまくし立て、
散々甘やかされたであろう醜い青年は顔を近づけ罵った。
男はため息をつき、小さな袋を一つ取り出した。
「これでもダメか?」
中には金貨がぎっしりと入っていて、その重量感ある小袋を見た途端、
家族全員の顔色が変わった。
「ふん!金を持っているならさっさと出せ!まったく、要らん手間を掛けさせおって!」
言いながら町長は袋をぶんどった。
「アナタの部屋に泊めなさい。」
「イヤだね!なんでオレの部屋にこんなヤツをいれなきゃいけないんだよ!セキの部屋でいいだろ!?」
「まあ!こんなのをセキちゃんの部屋に入れるワケにはいきませんわよ!」
セキとは、町長夫人のペットのブルドッグのことだ。
(ペットの部屋があるくせに客間は無しか…)
犬以下の扱いにも動じる事なく男はただ黙っていた。
「仕方がない…オイ!」
町長が手を打ち鳴らすと、奥から一人の少女が出てきた。
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