4: ◆BMkVgrQB5qSZ[sage saga]
2011/08/12(金) 00:50:44.31 ID:BFRrGUMm0
涙で濡れた真っ赤な目からは、まどかが夜通し泣いていたことが推察される。
よほど怖い夢を見たのだろう。
詢子が涙をぬぐい、頭をなでてやると、まどかはやっと泣き止み、少しずつ話し始めた。
「うん。とっても、怖い夢。私のせいで大切な人たちが、みんな死んじゃうの」
言葉を発するたびに、まどかの顔は曇っていく。
「それでね、悲しくなった私は、自分勝手な考えで取り返しのつかないことをして、
最後には、みんなに忘れられるの。……ママやパパ、タツヤからも」
言い終えると、まどかは再び泣き出してしまった。ぽたぽたと零れ落ちては、消えてゆく涙の粒。
まどかの、苦しみや悲しみを代わってやれないことが、詢子は悔しかった。
「そっか、あたしはあんたのこと忘れちゃってたか。寂しかったな。ごめんね、まどか」
「ママは悪くない。全部、私が悪いんだよ」
「気にし過ぎさ。夢のことなんて忘れちゃいな。ほら、これでもう怖くないだろ?」
詢子は、ぬいぐるみを離そうとしないまどかを、ふわりと包み込む。
まどかの表情に光が戻るまで、彼女は傍にいるつもりだった。
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