13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/13(土) 12:49:28.84 ID:Gu3hpdcq0
 「ほら、そこはもっとしっかり引いて!!線の太さは均一にしなさい!!」 
  
 「・・・へいへい」 
  
 俺としては、どんなに同じ時間を繰り返したとしても犬ではなく人間として 
 こいつに出会いたいものであるが。 
  
 さて、そろそろ作業も終わりに近づいたころに、 
 いつもこうして中学生バージョンは横に来て、俺の手から白線引きくんを奪い取り 
 142757回目でもまだ俺の書いたそれが、自身のイメージのトレースとはかけ離れているといわんばかりに微調整を施しながら 
  
  
 「ねぇ、あんた。宇宙人っていると思う?」 
  
 と、俺に質問を投げかけるのである。 
  
 「いるんじゃねーの」 
  
 「じゃあ、未来人は?」 
  
 むしろ、今の俺はお前にとって未来人だ。 
  
 「まあ、いてもなんざおかしいことはありゃしねーよ」 
  
 「超能力者なら?」 
  
 「それはきっと、コンクリビルに囲まれた都会の空を見上げながら満天の星空を探すことと同値だな」 
  
 何回か繰り返していると、かっこいいことのひとつは言いたくなるものである。 
  
 「異世界人は?」 
  
 1回目の7月7日を世界Aとし、142857回目のこの世界が世界Aとは違う世界だとするならば 
 俺は・・・・ 
  
 「それは、まだ知り合ってはいないな」 
  
 「ふーん」 
  
 嘘は言っていない。 
 「俺」はそうかもしれない可能性を持っているだけで、「俺」自身は異世界人に会ったことはないのだから。 
  
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