75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 20:10:25.45 ID:c+5+k8k3o
突然。
「うあ゛あ゛ぁっっ!」
澪ちゃんが悲痛な叫び声をあげ、つないでいた手が弾かれるように離れます。
おそらく、肩か腕を打ち抜かれたのでしょう。
「澪ちゃん!?」
驚いた私が声を上げ、澪ちゃんに振り返ります。
そのときすでに、澪ちゃんの顔はかろうじて海面に出ている程度でした。
その瞬間、私は見たのです。
澪ちゃんの、海水のためか涙のためか、真っ赤に腫らした目。
その顔に浮かぶ、悔しさとも、悲しさとも、苦しさとも、寂しさともつかない表情。
「ゆ……っ……」
私の名を呼ぼうとした澪ちゃんの顔が、ゴボリと波間に沈みます。
そして長い黒髪が、海面からわずかに伸びた左手にからみながら、照明弾の白い光に照らされ、波間に数瞬ゆらめきました。
するとまた大きな波が来て、それを私が何とかしのいだ後には、澪ちゃんは完全に見えなくなっていたのです。
……あっという間の出来事でした。
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