87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 20:55:12.56 ID:c+5+k8k3o
とはいえ、もう、時間は残っていません。
「憂、もう、いいかな……」
「……うん!」
憂が、かばんから取り出した手榴弾を手渡します。
「……よし……っっ!」
敵の手にかかるくらいなら!
私は手榴弾の栓を口で引き抜き、信管を岩に叩き付けると、抱き合う私たちの胸元に押し込みました。
「憂…憂ぃ……」
「お姉…ちゃ……お姉ちゃぁん……」
私たちは震えながら、ひたすら抱きしめ合いました。
しかし、十数秒ほど経ったでしょうか。
「あ、あれ? 爆発しない……」
波をかぶって火薬がしけてしまったのでしょう。戸惑った私は、手榴弾を右手に握って眺めました。
「お姉ちゃん、石で叩いてみようよ!」
そう言って、憂が足もとにあった石ころに手を伸ばしたそのときです。
………ボン。
―――同日、日本軍沖縄守備軍 第三十二軍司令官・牛島満中将が摩文仁において自決。
これにより組織的戦闘は終わったものの、以下の軍司令官命令が発せられ、停戦交渉も行われなかった。
「爾後各部隊ハ各局地ニオケル生存者ノ上級者コレヲ指揮シ最後マデ敢闘シ悠久ノ大義ニ生クベシ」
このため、各地で散発的な抵抗と米軍の執拗な掃討作戦が長く続いたのである。
最終的に、日本軍沖縄守備軍が降伏調印したのは、
ポツダム宣言受諾の八月十五日、戦艦「ミズーリ」艦上における降伏調印の九月二日よりも遅く、
実に、九月七日のことであった―――
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