過去ログ - インデックス「……おめでとう。とうま、みこと」
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◆jVYAigOtyU
[saga]
2011/08/15(月) 22:07:17.14 ID:vCfH7hl3o
――たった一度だけ、自分の立場を厭わしく思ったことがあった。
十万三千冊の魔道図書館、禁書目録。
イギリス清教がその身の内に孕む必要悪。
その最大たる申し子にして最悪なる切り札。
それはイギリスという国が今の姿を保ち続ける限り、きっと誰かが背負わねばならぬ咎なのだろう。
むしろそれが自分であることに幸福と誇りを覚えよ。
それが敬謙な十字教徒たる自分に定められた運命だと理解しつつも、
空腹に耐えかね腐敗した得体の知れぬものに手を付けた時――どうしたって憾みの言葉を零さずにはいられなかった。
もしかしたら過去の自分はもうすでに幾度となく、もしかしたら呪いの言葉さえ吐いたのかもしれない。
それを覚えていないというのは、幸福なことなのだと思う。
――たった一度だけ、もう二度と忘れることが出来ない己を厭わしく思ったことがあった。
赦されないことだ。
自分を救うために一体何人の血が流れたのか。
何人が涙を流してくれたのか。
何が、失われたのか。
これから積み重なってゆく幸福も、不幸もすべて自分は抱えてゆける。
それは代えがたい幸せであり大切な人々が与えてくれた大切な宝物だ。
だけどどうしたって彼の視線の意味を理解した時、
禁書目録は――インデックスはその思いを抱く自分を止めることができなかった。
忘却は人間がもつ防衛機能の一種である。
ならば、それを持たぬ自分は。
あの日芽生えた苦しみを一生抱えていかねばならぬ自分は、もしかしたら――不幸なのかもしれない。
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