過去ログ - インデックス「……おめでとう。とうま、みこと」
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28: ◆jVYAigOtyU[saga]
2011/08/18(木) 22:53:29.24 ID:FhNTtJKdo


――待っててほしい。


そう言ったのは上条だった。
インデックスが待っていてくれるなら絶対に帰って来られるから。
そう言われた時は純粋に嬉しかったのを今でもよく覚えている。

自分の預かり知らぬところで上条が傷ついていることがあれほど嫌だったはずなのに、
何故自分はその言葉に頷いたのか。

わがままを言って上条に嫌われたくなかったのだろうか。
それとも純粋に自分では足手纏いになると自覚していたのだろうか。
もしかしたら何も知らないで待ち続けるお姫様のようなポジションに憧れを抱いていたのかもしれない。

いくら考えてもそれは自分にさえわからぬ、もう『終わってしまった出来事』だ。

そして御坂美琴はインデックスとは違い、ついて行くことを選んだ。

その選択を、その結果を後悔しているのかと問われれば正直わからない。
上条は約束通りインデックスの元へと帰って来たし、二人は変わらず一緒に居続けている。

だがあの事件が終わったその時から何故だろうか。
インデックスは時折壁の存在を感じるようになった。
幸福なはずの自分を見下ろす高い高い壁。

浜面は、滝壺は、そして御坂は、インデックスの知らない上条当麻を知っている。
いくら他人からヒーローたる上条の姿を伝え聞いても、
その溝はけして埋まることなく二人の間に存在しているような気がして。
それが大きな疎外感へとなってインデックスを痛め付けるのだ。

「何をそんなに焦ってんだよ? またこの前みたいに舌噛むぞ」

インデックスはいつから上条がこんな柔らかい声で御坂を呼ぶようになったのか、知らない。

「かっ、噛まないわよ!」

「涙目になってる御坂、レアだよな」

「しょうがないじゃない! めちゃくちゃ痛かったんだから!」

「あははっ」

インデックスはいつから二人がこんな風に笑い合うようになったのか、知らない。



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