過去ログ - 真宵「これも、また、戯言ですかね」
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:20:57.95 ID:4VTMtEH9o
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 僕は、自転車を漕いでいた。とにかくとにかく、漕いでいた。
 おかしい。なにかがおかしい。
 何がおかしいのかはわからないけれど、とにかくおかしい。
 いや、何かが起きているのは確実だ。
 だって、こんなにも明確な変化がこの町では起きていた。
 いや、もっと、限定された範囲。
 僕の周りで、何かが起きていた。
 こんなにも、こんなにも自転車を漕いでいるのに。
  ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 道路には、誰一人として、人がいなかった。
  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・
 どこを通っても、何もいない。動物もいない。
  ・ ・ ・    ・ ・
 生命が――ない。
 おかしい。いくらなんでも、これはおかしい。
 まるで、この世界に僕と真宵ちゃんしかいないみたいじゃないか。
 いくら、今日が天下の――何曜日だ?今日は――何曜日だ?
 というか、今――僕は何をしているんだ?
 何故、自転車を漕いでいるんだ?
「八九寺ちゃん!どうして、僕は、君を乗せて、自転車を漕いでいるんだっけ?」
「えっ!なっ何をいきなりっ!」
「答えろっ!」
「こ……公園にいたら、あなたがいきなり殺されそうになって、それで、あなたはその人
から逃げているんですっ!」
「そうか!そうだったねっ!」
「はいっ!そうでしたっ!」
 畜生。何て日だ。何がどうなってやがる。何で僕は自転車を漕いでいるんだ?
 わからない。わけがわからない。
 つい昨日、忍ちゃんに、血をあげたばかりだから、あと何日かは自転車を漕ぎ続けるこ
とができそうだけれど。あれ?ちょっと待てよ。忍ちゃんに血をあげたのはいつだったっ
け?さっき?きのう?おととい?いっしゅうかんまえ?いっかげつまえ?
 モウ
  ナニガナンダカ
        ワカラナイ
 頭がくるくると、クルクルと、狂狂と、
    まわって、マワッテ、回って、
     おかしい。オカシイ。犯しい。
                              狂ってしまいそうだ。
 いや/もう既に/僕は/ボクハ/クル/ッテシ/マッテイ/ルノデショ/ウカ
 もう駄目だ。もうだめだ。モウダメダ。

 いや、待てよ。あほか僕は。こういうときは家に帰ればいいじゃないか。数ヶ月前まで
とは違い、僕には帰る家があるのだ。そうだ。帰ろう。今から、家に向かうのだ。



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