過去ログ - 真宵「これも、また、戯言ですかね」
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:31:22.45 ID:4VTMtEH9o
それから、何分たったのか、何時間たったのか、動揺しすぎてわからないが、とにかく、
真宵ちゃんの目指していた場所――あのメモに書かれていた通りの住所の場所に、僕達は
着いた。
が、しかし――
「……でも、こんな」
とはいえ――達成感はなかった。
目前の光景に達成感はなかった。
「ひたぎちゃん――ここで間違いないのかな」
「ええ。間違いないわ」
断言の言葉に、覆る余地はなさそうだった。
その場所は――すっかり綺麗な更地だった。
真宵ちゃんがどこを目指していたのかは知らないが、真宵ちゃんが目指したのは、おそ
らく、誰かの家だったはずだ。しかし、それは――それはもう――
フェンスで囲まれて、私有地、無許可での立ち入りを禁ず――の看板が、むき出しの地
面に刺さって、立っていた。その看板の、端の方の錆び具合からして、随分と昔から、そ
れはその形であり続けてきたのだろうことは、否定のしようがなかった。
「……こんなことってあるのかよ。そんな、そんな都合よく行かないってことなのか?」
そうだ。
これだけ町並みも道行も代わっているのに――目的地だけは何も変わっていないなんて、
そんな都合のいいことがあるわけもない。一年足らずの期間をあけたに過ぎなかったひた
ぎちゃんの家ですら、道になってしまったのだ。そもそもこの方法自体、目的地のそばに
新しい道がなければ、単なる机上の空論に過ぎない。必然的に、目的地そのものが変わっ
てしまっている可能性は、本来なら、最初の段階から予測できるほどに、高かった。
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