110:ハジメテ ◆oEZLeorcXc[saga sage]
2011/10/20(木) 16:18:20.98 ID:vvqVtp9F0
「? ああ、俺ならもうシャワーで済ませたぞ」
狼狽する私をよそに、目の前にはきょとんとした顔。
あ、この人は何も考えてない(確定)。
これじゃ意識してる私が馬鹿みたいだ。
「………もういいです」
「バスルームはトイレの逆な」
そういうと立ち上がりカップの片付けを始めた。
「なんか分からなかったら聞いてくれ」
あなたの大きな背中が遠ざかる。
シャワーを済ませたといった割にはそのまま外に出れるような格好で。
そのまま寝るのかと少し驚く。
あなたと出会ったのは残暑の厳しい夏の終わりというよりも秋のはじめに近かった。
あなたを好きだとはっきり意識をしたのは初雪の降ったあの冬。
あなたとお互いの気持ちをちゃんとぶつけあったのは割と最近で、まだ桜が咲いたばかりの春の日だった。
だから夏はまだあなたと過ごしていない。
こんな些細な事でさえ、あなたを知らないんだと心が痛む。
まだまだ遠い存在で
まだまだ近づきたい存在。
「…………馬鹿」
聞こえないように口の中で呟いて、ゆっくりとバスルームに向かう。
私の足には大きいスリッパがパタパタと音を立てる。
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