243:たとえばこんな滝壺さん ◆oEZLeorcXc[sage saga]
2012/01/26(木) 14:38:06.76 ID:Yt32AAJ30
その手の中にあったのはどこからか取り出した分からないいくつかの本とディスク。
見覚えのあるものだ。
たまに訪れる知人や何よりも滝壺に見つからないように念には念を入れて隠している俺の個人的嗜好品。
中には危ない橋を渡り用意した無修正ものも入っているそれ。
俺、浜面仕上独り身時代からのコレクション(ちなみに滝壺との同棲準備として本当のお気に入り以外は元スキルアウトメンバーに譲渡した)。
「なななななな、なぜそれを!!」
反射的に取り返そうとするがひょいっと遠くに持っていかれ届かない。
座ったままだった俺はバランスを崩し、ベッドに倒れこんでしまう。
「私の能力は能力追跡<AIMストーカー>。たとえ地球の裏側に逃げても位置情報を検索できるよ」
キラーンとかつてないジト目が光る。
「…………………いや、そういう能力じゃないだろ」
体を起こしながらツッコミをいれる。
危うくスルーしそうになった。
「今のは冗談」
滝壺が言うと冗談に聞こえないから怖い。
「でもね、はまづら」
首に手を回され見つめあう形になる。
いつになく真剣な瞳。
少しだけ悲しそうな瞳。
「私ははまづらの彼女なんだよ?」
そのキレイな瞳の奥に見えるのは滝壺を悲しませている張本人のマヌケな顔――つまり俺だ。
「ゴメン。俺が悪かった。これからは滝壺に相談するよ」
辛いのは俺だけじゃない、滝壺だって同じなんだ。
何のに俺は一人で裏切るような事をしていた。
俺は馬鹿だ。
一人じゃない、二人なんだから。
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