53:Until reaching the starting line ◆oEZLeorcXc[saga sage]
2011/08/21(日) 17:55:16.81 ID:rY6iS8KI0
「コートを」
言葉になるのは、形になるのはどうでもいい事ばかりだ。
ああ、私の心は動揺したままらしい。
それでも何とか言葉を紡ぐ。
「コートを返さなきゃと思ってた だけよ。そ、それにアドバイスをし た手前、少しだけ気になってたし」
揺らいだままの心はその奥にある本心が隠れたままに。
私の望みを映さないままに外へと向かう。
「コートは捨てろ。クソガキとは無事元通り、これでイイか?」
遮られるように告げられた言葉。
いや、遮ったのだろう。
会話を。
この場を。
私達の関係を。
「ンじゃな」
「あ……」
立ち上がった姿を見て、待って口が動くよりも先に
私の手は早く服の端を掴んでいた。
「え、あ……」
自分自身の行動に驚いてその手を放す。
こどもが親を引き留めるように。
想い人に後ろ髪を引かれるように。
それはまだ何も伝えてないからか。
分からないままに手を伸ばし、手を戻す。
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