58:Until reaching the starting line ◆oEZLeorcXc[saga sage]
2011/08/21(日) 18:06:47.19 ID:rY6iS8KI0
「それ、五回目よ。美琴」
「でさー………ってあれ? そうだっけ?」
私のため息交じりの言葉に目の前の少女――御坂美琴は差も気付かなかったといった反応をする。
もちろん彼女の性格は知っているので本当に気付いていない事くらいは分かっている。
無理もない。
つい先日約一年ほどの少し長い片想いが終わりを告げたからだ――想いが成就されるという形で。
「嬉しいのは分かるけど……惚気ばかり聞く身にもなって欲しいものだわ」
「惚気って……愚痴に付き合ってくれるんじゃないの?」
場所は喫茶店。
有体に言えば私は美琴の恋愛相談に乗っているのだ。
恋愛経験なんてないくせに。
「貴方がどう思っているかは知らないけれどそれは愚痴じゃなくて惚気よ」
「ううー」
よく付き合い始めの彼氏彼女が何をしたらデートになるのかなんて話を聞くけれど
答えは簡単で彼氏彼女でするなら何だってデートなのだ。
それと同じように。
彼氏への愚痴の話は。
彼氏との惚気話に他ならない。
「夏の暑さも厳しいけど……どっかの誰かの惚気も厳しいわねー」
「うう……」
暑いといっても八月上旬。
暑さには徐々に慣れてきているし店内は自動空調のおかげで寒すぎず暑すぎない冷房が効いている聞いているから言葉ほどではない。
わざとらしく手でぱたぱたと仰ぎながら美琴を見ると申し訳なさそうな顔で机に突っ伏している。
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