69:Until reaching the starting line ◆oEZLeorcXc[saga sage]
2011/08/21(日) 18:24:50.28 ID:rY6iS8KI0
「…………」
「あ、終わった?」
赤毛の少女と白い少年は窓のないビルの一室にいた。
六畳ほどの小さな一室。
二人がいる場所は『待合室』と呼ばれた場所。
窓のないビルの機密性が弱まり『案内人』の数は以前より増員されたとはいえ、元々が三桁にも満たない数しかいない十一次元特殊計算式応用分野、需要に比べて供給が圧倒的に少ない。
故に以前よりも出入りが激しくなった窓のないビルで『案内人』を待つ場所として用意されたのがこの場所だ。
白い少年がその部屋を訪れた時、赤毛の少女は広くない室内でその最奥に座っていた。
入り口で立ち尽くす少年に赤毛の少女が声をかける。
「どうしたの?」
少女はとても楽しそうな顔をしていて。
「なンでオマエがいンだ」
少年は酷く嫌そうな顔をしていた。
「私が担当の『案内人』よ」
その言葉を聞いて部屋を出て行こうとした少年に少女は続ける。
「悪いけどチェンジはできないわよ?」
少しだけ意地悪そうに微笑んで。
「それに私は貴方に用があるの」
「なンだよ」
「場所、移していい?」
「……好きにしろ」
少年は部屋を出ようとしたまま、つまり背を向けたまま少女に答えた。
少女が「分かったわ」と頷くと――
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